第6次エネルギー基本計画について(2050年カーボンニュートラルに向けた動きを素人が解説します)

世界的な脱炭素に向けた動きはもう避けることはできないと感じています。
そのような中で、菅前首相が2050年カーボンニュートラルを2020年10月に表明しました。
本内容は全日本国民に広く知られる必要があると感じるため、個人的な意見も含め解説したいと思います。

現在開催されているCOP26に通じる内容もあるため、ぜひ読んでみてください!

2021年度とはどんな年か?

東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、F1)を含む東日本大震災から10年を迎えました。
(F1の事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むことがエネルギー政策の原点)
2021年3月時点で2.2万人もの被災者が非難対象になっているため、最後まで福島の復興・再生に取り組むことが明記されています。

これまで原子力を活用したエネルギー政策を進めてきた政府の責任を認め、「安全神話」に陥って悲惨な事態を防げなかった反省を忘れないという内容も書かれています。

なお、事故発生から10年以上経った今でも原発廃炉関係作業に4,000人/日もの人が関わっています。
この廃炉作業は地下水との戦いとなります。これまで、F1の地下に流れる大量の地下水が放射性物質に触れて「汚染水」とならないように地下水を制御し、施設に近づけない対策をしてきました。

そのおかげで「汚染水」は2014年時点では1日あたりの汚染水発生量が540mだったものが2020年時点では140mまで減らすことができています。

なお、それでも「汚染水」を0mとすることはできていないため、ALPSという装置で浄化処理した「ALPS処理水」として、今後海に放流する予定です。(第6次エネルギー計画では2年程度後を目処)
「ALPS処理水」は人間が飲んだり、食べたりしても健康に問題のない状態で処分されますが、この事実と異なる認識が広がる「風評被害」の発生を懸念しています。
この事実を適切に伝えていく必要があると感じたため、次章ではALPSについて解説します。

ALPSとは

多核種除去設備というもので、汚染水から放射性物質の大部分を取り除くための装置です。
「ALPS処理水」にはトリチウムという放射性物質が残っているが、トリチウムは水素の仲間のため、水道水や食べ物、我々の体にも存在しています。つまり規制基準さえ満たして放流することで、人体への影響は考えにくく、実際に世界中の多くの原子力発電所で海洋放出はされているため、安全性に関しては世界共通認識となっています。

2050年カーボンニュートラル実現の鍵

カーボンニュートラル実現には温室効果ガス排出の8割以上を占めるエネルギー分野の取り組みが非常に重要になります。
なお、現在、電力部門では再生可能エネルギーや原子力などの実用段階にある脱炭素電源を活用しつつ、水素・アンモニア発電やCCUS/カーボンリサイクルによる炭素貯蔵・再利用を前提とした火力発電などの革新を追求する必要があります。

日本は資源が少なく、国土が狭いため、再生可能エネルギーのみで必要な電源を満足できません。
そのため、原子力も含めたあらゆる選択肢を追求して、2050年カーボンニュートラルを実現させようとしています。

また、世界的な脱炭素に向けた動きの中で、国際的なルール形成を主導することや
これまで培ってきた脱炭素技術、新たな脱炭素に資するイノベーションによって国際的競争力を高めることが大切とも言っています。

ネガティブエミッション技術について

前章のように2050年カーボンニュートラル実現には並々ならぬ努力が必要であり、国民一人ひとりの心がけも重要になってきます。しかし、そこまで頑張っても、今の豊かな生活を維持するためには、CO2排出が避けられないことも事実です。
これを解消するために、DACCSやBECCS、森林吸収源を活用するネガティブエミッション技術の必要性も謳われています。

では、このネガティブエミッション技術とは何なのか?という点ですが、
DAC:Direct Air Capture(直接空気回収) とCCS:Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素回収・貯留)を組み合わせたDACCSと呼ばれる大気中のCO2を直接回収する方法と

BECCS:BioEnergy with Carbon Capture and Storage(CCS付きバイオエネルギー)と呼ばれるバイオ燃料(樹木が成長する際に回収するCO2=燃えるときに発生するCO2)でネットゼロ(プラマイゼロ)を実現しながらCCSで地中などにCO2を貯留することにより排出されるCO2をマイナス側にする技術です。

まとめ

エネルギー基本計画は全日本人が確実に目を通すべき資料となっています。
産業界の上流であるエネルギー分野の変化は確実に下流にある産業すべてに関わってきます。

上記内容では軽くさらっとまとめた程度ですので、資源エネルギー庁のHPをゆっくり見る時間を作るのもいいかもしれません♪

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